名古屋大学大学院工学研究科化学・生物工学専攻

応用化学第8講座 応用計測化学研究室の沿革

 

名古屋大学工学部工業分析化学関連講座小史

1939年に名古屋帝国大学官制が公布され、名古屋帝国大学理工学部および医学部が創設された。このときに、応用化学科が設立された。1940年4月に理工学部は名古屋市東区西二葉町30番地 元愛知県立第1中学校校舎を借り受けて開設した。1942年、理工学部は、工学部および理学部の二学部に分離した。

応用化学科創設により、関連の共通講座として工業分析化学講座が設立された。1961年に合成化学科が新設されると、合成化学第5講座として工業機器分析化学講座が設立された。また、1963年に金属・鉄鋼学科系の共通講座として工業分析化学第2講座が設立され、工業分析化学講座は、工業分析化学第1講座となった。1997年の大学院重点化完了、2004年の大専攻制移行に伴い、工業機器分析化学講座は応用化学第8講座(応用計測化学)、工業分析化学第1講座は応用化学第9講座(分析化学)、工業分析化学第2講座は物質制御工学専攻・物質計測工学講座となった。

2017年の工学研究科・工学部の改組により、各研究室は以下のように名称が変更された。

応用化学第8講座(応用計測化学) 

応用化学第9講座(分析化学) 

応用計測化学研究室の歴史

 

工業分析化学講座* 石丸三郎教授 1940年〜1950年

1940年石丸三郎先生が工業分析化学講座の教授として着任し、鉄鋼中の各種成分の化学分析法、液状アマルガム応用分析法、硫化水素を用いない定性分析法などの研究を推進した。先生は金属分析化学の第一人者で第二次大戦前後の困難な状況を克服され、(1945年5月14日、上記東区西二葉町の工学部仮校舎の全部は空襲により焼失した)ご活躍されたが、1950年御病気で死亡された。

 

工業分析化学講座 平野四蔵教授 1950年〜1956年

1950年石丸教授の死去により、平野四蔵先生が教授として着任し、鉄鋼中の各種成分の迅速分析法、吸光光度法の工業分析への応用、イオン交換中和滴定法、電量滴定法などの研究を展開した。東大の宗宮尚行教授が定年退官され、その後任として平野教授を特に要望され、平野教授は1956年に東大に転出された。その後任として宗宮教授が勤務されることとなった。

 

工業分析化学講座 宗宮尚行教授 1956年〜1959年

1956年平野先生の転出により、宗宮尚行先生が教授として着任し、金属チタン製造工程副生物中のトリウム、ウラン、希土類元素等の回収とその分析法、核燃料用金属ウラン中の微量不純物の分析法などの研究を推進した。

 

工業分析化学講座 武内次夫教授 1958年〜1964年

1958年武内次夫先生が教授として着任した。武内教授は、1958年6月に名古屋大学教授として発令されたので、宗宮教授が退官される1959年3月末まで約10ヵ月間、教授が2人同時に勤務することになった。武内教授は、宗宮教授の研究を継続するとともに、ガスクロマトグラフィー、原子吸光分析法、高分子材料分析法などの研究を展開した。

 

合成化学第5 工業機器分析化学講座 武内次夫教授 1964年〜1978年

 合成化学第5講座として工業機器分析化学講座が設立されるにともない、1964年に武内先生が、工業分析化学講座から配置換えにより教授に着任された。研究テーマはクロマトグラフィー、原子スペクトルおよび分子スペクトル分析を中とした機器分析の基礎と応用全般にわたり、無機材料から有機高分子まで幅広い物質を対象にして、機器開発とそれらを活用した新しい分析手法の展開を二つの柱とした。武内教授は、工業材料中の微量不純物分析の研究、クロマトグラフィーの基礎と応用に関する研究などに多くの業績を残した。

 

合成化学第5 工業機器分析化学講座 柘植新教授 1980年〜2001年

1980年柘植新先生が教授として着任した。柘植先生は、熱分解ガスクロマトグラフィーの新手法の構築と高分子分析に関する研究、高分子の微細構造解析の研究などで優れた業績を挙げた。さらに、新しい計測システムの開発が環境分析などにも研究を展開した。特に、高分子の熱分解ガスクロマトグラフィーの研究においては、検出・分離の基礎研究から非常に多岐にわたる高分子化合物分析への展開と精力的な研究を展開し、多くの業績を残した。

 

応用化学第8講座 応用計測化学研究室 馬場 嘉信教授 2004年〜2016年

2004年の大専攻制・大講座制移行にともない、応用化学第8講座応用計測化学研究室が設立され、馬場 嘉信先生が教授として着任した。馬場先生は、新たなナノ構造構築に基づくナノ空間創成とナノ空間における生体分子・細胞の特異的現象を解明し、ナノ空間科学を創成するとともに、ナノ空間工学を活用した新しいバイオデバイス開発の研究を推進している。さらに、ナノ空間科学・工学融合によりのみ実現できる生命の新規計測技術の創製を行うとともに、その計測技術でしか解明できない生命現象研究を進めている。これらの研究を通して、バイオテクノロジーとナノテクノロジーの融合領域における新しい学問領域を創成するとともに、新規産業創出に寄与することを目的とし、研究を精力的に展開している。

 

工学研究科・生命分子工学専攻 工学部・化学生命工学科 分子生命化学講座 ナノバイオ計測化学研究室 馬場 嘉信教授 2017年〜

2017年の工学研究科・工学部の改組にともない、分子生命化学講座ナノバイオ計測化学研究室が設立され、馬場 嘉信先生が引き続き教授として主催している。馬場先生は、ナノピラー、ナノウォール、ナノスリット、ナノワイヤ、量子ドットなどの新規ナノ構造に基づくナノバイオデバイスを創製し、1分子ゲノムDNA解析による生命化学研究を推進するとともに、単一がん細胞、単一生体分子(ゲノムDNA、メチル化DNA、マイクロRNA、タンパク質、代謝物等)および単一エクソソーム解析によるがん超早期診断、量子スイッチング材料等によるがんの診断・治療融合(Theranostics)、分子ファンクショナルin vivoイメージング、iPS細胞・幹細胞再生医療の研究を進めている。さらに、医工・産学連携により未来医療を実現している。さらに、これらの研究を通して、バイオテクノロジーとナノテクノロジーの融合領域における新しい学問領域を創成するとともに、新規産業創出に寄与することを目的とし、研究を精力的に展開している。

*本来、現応用化学第8講座 応用計測化学研究室は、合成化学科が設立されるとともに1964年に創立された合成化学第5 工業機器分析化学講座を源とするが、名古屋大学創立時に発足した工業分析化学講座がその源流であるので、工業化学分析化学講座の歴史から記載した。

 

工業分析化学第1講座および工業分析化学第2講座  1964年以降

1964年武内先生は、合成化学第5講座に配置換えとなり、工業分析化学第1講座および第2講座が発足した。

工業分析化学第1講座は、石井大道先生、原口紘き先生、小長谷重次先生が教授を務められ、現在は村上裕教授が務められている。

工業分析化学第2講座は、水池敦先生、河口広司先生、平出正孝先生が教授を務められた。

 

名古屋大学工学部工業分析化学関連講座教授の業績・受賞等

日本分析化学会会長(1952年創立)

1955・1956年度 宗宮尚行先生

1968年度 平野四蔵先生

1974年度 武内次夫先生

1992年度 水池 敦先生

2002年度 柘植 新先生

2007年度 原口紘き先生

日本分析化学会賞

1964年度 平野四蔵先生

1965年度 武内次夫先生

1974年度 水池 敦先生

1979年度 石井大道先生

1990年度 河口広司先生

1995年度 柘植 新先生

1999年度 原口紘き先生

2015年度 馬場嘉信先生

American Chemical Society, Analytical Chemistry Associate Editor (日本からは2011年より)

2011年〜 馬場嘉信先生

American Chemical Society, Analytical Chemistry Editorial Board (日本からは1981年より)

1984-1986年 水池 敦先生

2006-2008年 馬場嘉信先生

日本化学会賞(1948年創設)

1970年 武内次夫先生

日本化学会学術賞(1983年創設)

1986年度 柘植 新先生

1987年度 原口紘き先生

2007年度 馬場嘉信先生

文部科学大臣表彰 科学技術賞 研究部門

2016年度 馬場嘉信先生

日本学術振興会賞

2017年度 村上裕先生